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最高裁判所大法廷 昭和23年(れ)70号 判決

主文

本件上告を棄却する。

理由

辯護人重山徳好の上告趣意は別紙添付の上告趣意書と題する書面の通りである。

第二點について。

論旨は結局原審の自由裁量の範圍に屬する刑の執行猶豫に關するもので、かかる主張は適法の上告理由とすることができないものである。

又原審が被告人に對し刑の執行猶豫の恩典を與へないのは「すべて国民は法の下に平等である」との憲法第十四條の趣旨に反するものであると主張するが、同條は人種、信條、性別、社會的身分又は門地により政治的、經濟的又は社會的關係において、すべての国民を差別的に取扱わない旨を規定して居るのであって、原審が被告人に對し刑の執行猶豫の言渡をしないのは同條所定の事由によりて被告人を差別待遇したのではなく事実審として所論の辯償の事実をも參酌した上犯罪の情状からみて刑の執行猶豫の言渡をすることができないと判斷したのであるから、何等同條に反するものでない。

よって裁判所法第十條第一號刑事訴訟法第四百四十六條により主文のとおり判決する。(その他の判決理由は省略する。)

右は裁判官全員の一致した意見である。

(裁判長裁判官 塚崎直義 裁判官 長谷川太一郎 裁判官 沢田竹治郎 裁判官 霜山精一 裁判官 井上登 裁判官 栗山茂 裁判官 庄野理一 裁判官 齋藤悠輔 裁判官 藤田八郎 裁判官 岩松三郎 裁判官 河村又介)

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